Beauty Lesson
肌の表面を守る角質層の役割とケア方法 バリア機能を保つ秘訣とは
雑誌やテレビCM、化粧品のパッケージなどでよく見かける言葉のひとつに、「角質層」があります。
しかし、具体的に肌のどの部分を指し、どのような役割を持つかなど、詳しく理解している方は少ないでしょう。
今回は、角質層の役割やケア方法をご紹介します。
肌の最表面を覆う厚さ0.02ミリの角質層
角質層とは肌の最も外側にある厚さ約0.02ミリの層です。
食品用のラップフィルムと同じ程度の厚さしかありません。
とても薄い角質層ですが、1枚の層ではなく、「ケラチノサイト」と呼ばれる細胞が平たく重なり合って構成されています。
体や顔の部位によって層の数は変わり、およそ15層~40層で成り立っています。
ケラチノサイトに細胞の活動に欠かせない核は存在せず、細胞としては死んだ状態です。
死んだ細胞(角質細胞または角層細胞)の間に満たされた保湿成分よって細胞同士が結合しています。
つまり、角質層をレンガの壁に例えると、死んだ細胞はレンガ、保湿成分はレンガ同士をくっつけるセメントといった構造です。
角質層を含む表皮の構造
私たちの肌は表面から順に、表皮・真皮・皮下組織の3層で構成されています。
表皮は表面から順に、角質層・顆粒層(かりゅうそう)・有棘層(ゆうきょくそう)・基底層の4つに分かれます。
先ほど述べたケラチノサイトが生まれる場所は、最も内側の基底層です。
ただし、ずっと基底層に留まることはありません。
日々新しいケラチノサイトが生まれるため、古いケラチノサイトはどんどん上の層へと押し上げられます。
その間に死細胞へと性質を変え、最も外側の角質層まで到達すると最後は垢として表皮から剥がれ落ちます。
こうして繰り返される新陳代謝が、皮膚の「ターンオーバー」です。
健康的な皮膚の場合は、約28日の周期で行われます。
しかし、紫外線や乾燥、老化といったさまざまな理由によりターンオーバーの周期に乱れが生じると、肌トラブルを引き起こします。
角質層の役割
角質層は、大きく分けて「バリア機能」と「保湿機能」を担っています。
肌の表面を守る角質層がどのような働きをするか、詳しく見ていきましょう。
外部刺激から守るバリア機能
角質層の大きな役目が、外から入り込むさまざまな刺激から肌を守るバリア機能です。
正常な角質層は10~30%の水分を含んでおり、その水分が外部刺激を防いで肌内部の潤いを保ちます。
ところが、湿度の変化・ストレスといった要因から角質層の水分量が減ると、バリア機能も低下します。
その結果、外部刺激を受けやすくなり、肌トラブルが起こってしまいます。
外部刺激には、環境的な刺激と直接的な刺激があります。
・環境的な刺激:紫外線や気候、花粉、PM2.5など。
日傘やマスク、サングラスなどのグッズを活用して肌を守ることも大切です。
・直接的な刺激:過度なピーリングや熱いお湯による洗顔、タオルの摩擦など。
自分の肌に合わない化粧品の使用も、肌の負担につながります。
体内の水分蒸発を防ぐ保湿機能
角質層のもう1つの役目が、保湿機能です。
バリア機能にとって欠かせない水分を保つため、角質層には3種類の保湿成分が存在します。
この保湿成分が大量の水分を抱え込むことで、体内の水分蒸発を防いでいます。
ところが、ターンオーバーの乱れといった原因により保湿機能が低下すると、肌の潤いを保つことができません。
水分も油分も不足して、入浴後に肌がつっぱったり、全身がカサカサしたりといった乾燥肌の症状を引き起こします。
とくに顔では目元や口元、頬などが乾燥しやすくなるため、適切なスキンケアを行いましょう。
角質層に含まれる保湿成分
先ほど述べた通り、角質層には3種類の保湿成分が含まれます。
それぞれの保湿成分について知り、肌が潤いを保つ仕組みを理解しましょう。
角質層の水分を守る角質細胞間脂質
角質細胞間脂質とは、角質細胞同士の隙間を埋める脂質です。
角質層の水分を80%以上守っています。
脂質と水分が規則正しく並んだ層状の構造を形成しており、水分を守るだけでなく、バリア機能の役割も同時に担っています。
角質細胞間脂質の約半分を占めている主成分が、敏感肌用のスキンケア用品によく見られる「セラミド」です。
角質細胞間脂質に十分な量のセラミドがないと角質細胞がバラバラになり、バリア機能が低下して肌荒れを起こしかねません。
セラミドは加齢により減少するため、セラミドを含んだスキンケアアイテムでケアすると不足を補うことができます。
肌が生み出す天然保湿成分NMF
NMFとはNatural Moisturizing Factor(天然保湿因子)を指し、角質層内の水分となじんで保持する働きをします。
NMFを構成する成分の約半分はアミノ酸です。
通常NMFは、角質細胞のケラチン線維内に存在します。
外部からの刺激によってケラチン線維が壊れるとNMFが流出してしまい、肌の潤いを保つことができません。
外部刺激や生活習慣に左右されないケアを行い、NMFが生み出されやすいようにすることが大切です。
外部刺激から肌を保護する皮脂
皮脂とは、汗腺から分泌される汗と混ざり合って皮脂膜を構成する成分です。
皮脂膜により角質層の表面は弱酸性となり、細菌の繁殖を防ぐことができます。
また、皮脂は肌の潤いを保つ機能も果たしています。
温度の高いお湯で洗顔したり、何回も洗顔をしたりすると必要以上に皮脂を奪ってしまうため、乳液やクリームなどで皮脂膜の働きを補いましょう。
肌荒れを防ぐ角質層ケア方法
角質層の役割や働きを踏まえて、ここからはどのような方法で日々のスキンケアを行ったらよいか、注意点とともにご紹介します。
角質層に強い刺激を与えない洗顔方法
角質ケアでは、不要な古い角質だけを落として、必要な保湿成分は落とさないことがポイントです。
古い角質が残ったままだと肌の表面がざらざらとした感触になり、毛穴を塞いでニキビや炎症の原因につながります。
そのために見直したいケアが、毎日の洗顔です。
次のような点に注意して洗顔しましょう。
・洗顔は朝と晩の2回が基本です。
それ以上洗うと潤いが奪われ、肌のバリア機能まで壊す可能性があります。
・洗顔料は泡立ててから肌に乗せ、泡で優しく洗います。
汚れを落とそうと指でゴシゴシこすると、摩擦によって角質層だけでなく、皮下組織までダメージを与える可能性があります。
・洗顔はぬるま湯で行います。
熱すぎるお湯は肌に必要な保湿成分まで流してしまうため、水温に気をつけましょう。
・生え際や顎周りなどに泡が残らないよう、丁寧にすすぎます。
時間をかけすぎると肌に負担となるため、手際よく行いましょう。
・タオルで拭くときはこすらずに水分をそっと押さえ、刺激を与えないようにします。
まとめ
肌の最も外側にある角質層は、0.02ミリの厚さしかありませんが、肌のバリア機能と保湿機能を担う大事な層です。
角質層の働きが低下すると肌荒れにつながるため、角質層に含まれる保湿成分を補うことができるスキンケア用品を選びましょう。
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